病態生理—最近のトピックス
糖尿病—インスリン分泌を中心として
繁田 幸男
1
1阪大第1内科
pp.212-213
発行日 1971年2月10日
Published Date 1971/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402203508
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インスリン分泌能解析の要点は
今日糖尿病が遺伝素因をもととする疾患であることは定説となっているが,これに長年にわたる栄養過剰や運動不足,あるいは種々のストレスなど環境因子が加わって特徴のある臨床症状を呈する糖尿病を発現してくるものと考えられている.Camerini-Davalosはこの間の病期の進展をブドウ糖負荷試験(GTT)やコーチゾン・ブドウ糖負荷試験(CGTT)の異常状態の有無により,GTT,CGTTいずれも正常域にある時期をPrediabetes,GTTは正常だがCGTTが異常を示す時期をLatent chemical diabetes,GTTも異常を示すようになるとChemical diabetes,さらに進展して臨床症状を現わす場合はOvert diabetesというように分類している.
ところで糖尿病の代謝異常の本態は体内におけるインスリンの相対的不足にもとづくものであるから,本症の進展とともに膵島β細胞からのインスリン分泌動態がどのように変化していくかという問題は,病態生理を考察するうえにきわめて重要である.ブドウ糖を投与すると,血糖の上昇とともにインスリン分泌が増大して血清インスリンが上昇することはよく知られている現象であるが,インスリン分泌の能力を解析するためには血清インスリンと血糖の両者の比較の上から検討する必要がある.
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