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特集 腎疾患治療薬 フロントライン
各論
第2章 慢性腎臓病・透析合併症
4.高カリウム血症治療薬:イオン交換樹脂
Treatment of hyperkalemia with cation exchange resin
満生 浩司
1
Mitsuiki Koji
1
1公立学校共済組合九州中央病院腎臓内科
キーワード:
高カリウム血症
,
陽イオン交換樹脂
,
ジルコニウムシクロケイ酸ナトリウム水和物
,
パチロマーソルビテクスカルシウム
Keyword:
高カリウム血症
,
陽イオン交換樹脂
,
ジルコニウムシクロケイ酸ナトリウム水和物
,
パチロマーソルビテクスカルシウム
pp.144-150
発行日 2025年11月15日
Published Date 2025/11/15
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000002122
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1 はじめに
カリウム(K)は生体内においてナトリウム(Na)などと並んで最も主要な電解質であり,その分布の異常や血中濃度の高低は,心血管疾患などの基礎疾患,合併症の有無にかかわらず生命予後に大きく影響する1)。特に問題となるのは腎機能の低下した慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)や透析患者における急性の高カリウム血症であり,不整脈や呼吸筋麻痺などの致死的神経筋症状を惹起する。体内総量約3,000 mEqのKは,細胞膜上のNa/K ATPaseの能動的作用により98%は細胞内に分布し,その濃度は約140 mEq/Lと高い。一方,細胞外では3.5~5.0 mEq/Lと低濃度が維持されている。この細胞内外の濃度勾配の担保が最も重要であり,-70 mVの静止膜電位を形成することで神経細胞や心筋細胞,骨格筋といった興奮性細胞の電気的な伝導に寄与している。そのためこの濃度勾配の変動すなわち血中K濃度の高低は,神経・筋細胞の重大な機能障害の原因となるため厳密に調整されている。

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