銀海餘滴
イオン交換樹脂
pp.997
発行日 1953年11月15日
Published Date 1953/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410201673
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イオン交換樹脂は水不溶性の高分子イオンと水可溶性のイオンとからなりたつている合成樹脂である。これには2種類あつて交換に役立つイオンが陽イオンか又は陰イオンかによつて,それぞわ陽イオン交換樹脂及び陰イオン交換樹脂と呼ばれる。これはいろんな化學的分質の純化精製に利用されていたものである。又第二次世界大戰中に海中からNaを除去して,海水を飲用水に換えるためにも利用された。これが醫薬品として治療に利用されだしたのは,ここ近年のことであつて,主なる用途は體内にNaの蓄積することを阻止する。つまり體内にNaがたまると浮腫が起るので,この浮腫の治療に用いられる。從つて,鬱血性心不全による浮腫,又は高血壓症などの治療に應用ざれ,更に又胃酸過多乃至胃潰瘍の治療に制酸劑としても利用される。
普通用いられる陽イオン交換樹脂はアンモニウムイオンを陽イオンとして含んでおつて,これが體内の陽イオンと交換されるものである。
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