2頁の知識
イオン交換樹脂
熊谷 洋
1
1東京大學
pp.18-19
発行日 1953年10月15日
Published Date 1953/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661909419
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イオン交換樹脂は水不溶性の高分子イオンと水可溶性のイオンとからなりたつている合成樹脂である。これには2種類あつて交換に役立つイオンが陽イオンか又は陰イオンかによつて,それぞれ陽イオン交換樹脂及び陰イオン交換樹脂と呼ばれる。これはいろんな化学的分質の純化精製に利用されていたものである。又第二次世界大戰中に海水からNaを除去して,海水を飲用水に換えるためにも利用された。これが醫藥品として治療に利用されだしたのは,つい近年の事であつて,主なる用途は体内にNaの蓄積することを阻止する,つまり体内にNaがたまると浮腫が起るので,この浮腫の治療に用いられる。從つて,鬱血性心不全による浮腫,又は高血壓症などの治療に応用され,更に又胃酸過多乃至胃潰瘍の治療に制酸劑としても利用される。
普通用いられる陽イオン交換樹脂はアンモニウムイオンを陽イオンとして含んでおつて,これが体内の陽イオンと交換されるものである。
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