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特集 腎代替療法 Update
各論
β2ミクログロブリン吸着療法
β2-microglobulin adsorption therapy
田中 彩之
1
,
星野 純一
2
TANAKA Ayano
1
,
HOSHINO Junichi
2
1埼玉県済生会川口総合病院腎臓内科
2東京女子医科大学腎臓内科学講座
キーワード:
β2ミクログロブリン
,
透析アミロイドーシス
,
リクセルⓇ
,
フィルトールⓇ
Keyword:
β2ミクログロブリン
,
透析アミロイドーシス
,
リクセルⓇ
,
フィルトールⓇ
pp.518-521
発行日 2025年10月25日
Published Date 2025/10/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000002066
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はじめに
長期透析患者に代表的な合併症である透析アミロイドーシス(dialysis amyloidosis:DRA)は,中分子の尿毒症物質の代表であるβ2ミクログロブリン(β2 microglobulin:β2m)を前駆蛋白としたアミロイド線維が骨関節領域に沈着することで,さまざまな骨関節症状を呈する。DRAのなかで最も有病率が高いのが手根管症候群(carpal tunnel syndrome:CTS)であり,手関節部の横手根靱帯にアミロイドが沈着し,内圧上昇によって正中神経が圧迫されることにより生じる。透析期間が5年増加するにつれて,CTSの発症は2倍近くに増えるとされており(図1)1),長期透析患者のQOLを低下させないためには,DRAの発症を予防することが必要となる。β2m除去率が80%を超えるとCTSのリスクが低下するという報告があることから2),透析領域において,DRAの原因物質であるβ2mは積極的に除去すべき尿毒症性物質であるとする考えがある。2013年の日本透析医学会のガイドラインでも,β2mを30mg/dL未満にすることが推奨されている3)。DRAは一度症状を認めると,薬物療法で痛みを緩和することやリハビリテーションにより生活の改善を図ることが治療のメインとなるため,発症予防と早期治療が重要となる。DRAの症状を緩和するための主な治療法として,血液透析濾過やβ2m吸着療法が有用とされているが,今回はβ2m吸着療法に焦点を当てていく。

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