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特集 高血圧診療 Update
各論
さまざまな病態における血圧管理
脳血管疾患
Blood pressure management in stroke
額田 遼太郎
1
,
豊田 一則
1
NUKATA Ryotaro
1
,
TOYODA Kazunori
1
1国立循環器病研究センター脳血管内科
キーワード:
高血圧
,
脳卒中
,
血圧管理
Keyword:
高血圧
,
脳卒中
,
血圧管理
pp.467-473
発行日 2025年4月25日
Published Date 2025/4/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000001835
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はじめに
高血圧は,脳卒中をはじめとする心血管イベントの最大の危険因子である。血圧値と脳卒中の発症には正の相関があり,血圧が高いほど脳卒中の発症率が上昇する1,2)。慢性的な高血圧は心房細動や動脈硬化,細動脈硬化を引き起こし,脳卒中と関連する。また,高血圧は腎硬化症などの腎障害を引き起こして慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)の原因となり,CKDを発症すると血圧管理がより悪化するという悪循環に陥る。メタ解析の結果によると,推算糸球体濾過量(eGFR)が60 mL/min/1.73 m2未満の患者では,脳卒中発症リスクが43%増加し,蛋白尿がある場合は,蛋白尿がない場合と比較して脳卒中発症リスクが71%増加する3~5)。これらのリスクの増加は,高血圧などの従来の血管リスク因子をCKDと脳卒中が共有していることや,慢性炎症,酸化ストレス,骨ミネラル疾患,高ホモシステイン血症,貧血,栄養障害などの腎機能障害による二次的影響が要因と考えられている5)。このように,高血圧はさまざまな全身疾患を介して,脳卒中の危険因子となる。脳卒中の予防における血圧管理目標は,患者の年齢,併存症,主幹動脈病変の有無などを考慮して設定することが望ましい。本稿では,現行のガイドライン,最近の観察研究,およびランダム化比較試験(randomized controlled trial:RCT)をもとに,脳血管疾患における血圧管理の最新知見を概説する。

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