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特集 腎臓リハビリテーション up to date
各論
運動による身体効果:最新の話題
血液透析患者の臓器内局所酸素飽和度
Tissue regional oxygen saturation in patients undergoing hemodialysis
伊藤 聖学
1
,
宮澤 晴久
1
,
大河原 晋
1
ITO Kiyonori
1
,
MIYAZAWA Haruhisa
1
,
OOKAWARA Susumu
1
1自治医科大学附属さいたま医療センター腎臓内科
キーワード:
局所酸素飽和度(rSO2)
,
血液透析
,
貧血
,
透析低血圧
,
透析用内シャント
Keyword:
局所酸素飽和度(rSO2)
,
血液透析
,
貧血
,
透析低血圧
,
透析用内シャント
pp.220-224
発行日 2025年2月25日
Published Date 2025/2/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000001780
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はじめに
血液透析(hemodialysis:HD)患者では,治療のために日常的に体外循環を行うことから,循環動態の変動が起こりやすく,臓器内の酸素動態を評価することは,各臓器への循環が維持されているかを把握する観点から,本来重要である。しかしながら,実際のHD治療中に,間欠的な測定である血圧測定を除き,患者の循環動態を把握することは容易でないだけでなく,臓器ごとの循環や酸素動態を想像することも困難であった。筆者らが着目した近赤外線分光法の原理を用いた臓器内局所酸素飽和度(regional oxygen saturation:rSO2)のモニタリングは,脳組織を含む臓器の灌流状態を把握するために,古くから心臓血管外科領域や新生児領域において用いられ1,2),近年では救急・集中治療領域でも使用されている3)。しかしながら,透析領域での本モニタリングの使用の歴史は浅く,筆者らはHD患者を中心として,脳を含む臓器内rSO2値についての検討を行ってきた。脳内rSO2値は,HD患者や腹膜透析患者において,健常者と比較して有意に低値で4,5),また慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)の進行に伴い,低下することも明らかになってきた(図1)。本稿では,筆者らのこれまでの検討を中心に,HD患者における臓器内rSO2について概説する。

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