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特集 腎臓リハビリテーション up to date
総論
オーラルフレイル
Oral frailty
小原 由紀
1
OHARA Yuki
1
1東京都健康長寿医療センター研究所
キーワード:
口腔機能
,
口腔
,
口腔衛生
,
歯科衛生
Keyword:
口腔機能
,
口腔
,
口腔衛生
,
歯科衛生
pp.155-160
発行日 2025年2月25日
Published Date 2025/2/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000001767
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Ⅰ 口腔保健の重要性
適宜適切な口腔の健康管理が,要介護高齢者の肺炎発症リスクの低減,日常生活動作やQOLなどのアウトカムの改善につながることが報告されている1,2)。口腔は,咀嚼・嚥下・味覚などの多様な機能を有することから,人が健康な社会生活を営むうえで不可欠な存在である3)(図1)。加齢に伴って,う蝕や歯周病に起因する歯数の減少,歯の摩耗・咬耗といった器質的変化に加え,唾液分泌量の減少や,舌圧や咀嚼筋などの筋力低下による咀嚼機能の変化,嚥下機能の変化など機能面においてもさまざまな変化を生じる。「80歳までに20本以上自分の歯を保とう」というスローガンのもと推進された8020運動が奏功し,高齢期を迎えても自身の歯を多く有する者の割合は,近年増加傾向にある。しかしながら,咀嚼や嚥下機能の低下,口腔乾燥の自覚を訴える者の割合は,加齢に伴って増加する傾向を示しており,口腔健康状態を良好に保つためには,歯数の維持に加えて口腔機能の側面からのアプローチが求められている(図2)4)。すなわち,う蝕や歯周病といった口腔内細菌と生活習慣などによる多因子によって引き起こされる歯科疾患に加えて,口腔機能低下の予防が口腔保健における今日的課題となっている。

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