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特集 腎疾患の診断と治療 最前線
VI.各論5:泌尿器疾患(診断と治療)
19.膀胱尿管逆流・異所性尿管・尿管瘤
Vesicoureter reflux・ectopic ureter・ureterocele
野口 満
1
Noguchi Mitsuru
1
1佐賀大学医学部泌尿器科学講座
キーワード:
膀胱尿管逆流
,
異所性尿管
,
尿管瘤
,
腎機能障害
,
尿路感染症
Keyword:
膀胱尿管逆流
,
異所性尿管
,
尿管瘤
,
腎機能障害
,
尿路感染症
pp.515-520
発行日 2024年12月15日
Published Date 2024/12/15
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000001657
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1 はじめに
膀胱尿管逆流(vesicoureter reflux:VUR),異所性尿管,尿管瘤は,いずれも膀胱-尿管接合部の器質的および機能的問題で起こり,小児の代表的な下部尿路疾患である。異所性尿管,尿管瘤は,図1に示すように解剖学的,発生学的な問題で,先天的器質的疾患であり,自然治癒はまず期待できない。健常状態の膀胱-尿管接合部は,膀胱に貯留した尿が蓄尿時あるいは排尿時に尿管,腎へ逆流しない機構を備えている。しかし,VURは,この逆流防止機能の先天的な脆弱で起こる〔原発性(先天性)VUR,図2〕。正常では,尿管が十分な長さで膀胱粘膜下層を走行することで,畜尿時は膀胱内から粘膜下層の尿管が圧迫され,排尿時は粘膜下層と収縮した筋層で尿管が圧迫され,逆流が起こらないメカニズムとなっている。一方,粘膜下層を走行する尿管の長さが短いと,このシャットアウト機構が上手く働かず,膀胱の尿が腎方向に逆流することになる1)。さらに,下部尿路機能障害により,逆流防止機能が正常であっても逆流を阻止できず,逆流を起こす場合もある〔続発性(二次性)VUR〕。続発性VURは,前立腺肥大症などの膀胱出口部の尿流出障害や,神経障害による膀胱の高圧状態,尿排出時の尿道弛緩不全など,いわゆる神経因性膀胱で起こりうる。
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