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特集 病理からせまる腎疾患の病因・病態解明
総論
脈管病変(動脈,静脈,リンパ管) 動脈硬化・細動脈硝子化からの鑑別診断・病理診断
Pathological differential diagnosis from arteriosclerosis and arteriolar hyalinosis
片渕 瑛介
1
,
中山 敏幸
1
KATAFUCHI Eisuke
1
,
NAKAYAMA Toshiyuki
1
1産業医科大学医学部第2病理
キーワード:
動脈硬化
,
硝子化
,
高血圧症
,
糖尿病
,
カルシニューリン阻害薬(CNI)
Keyword:
動脈硬化
,
硝子化
,
高血圧症
,
糖尿病
,
カルシニューリン阻害薬(CNI)
pp.391-397
発行日 2024年9月25日
Published Date 2024/9/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000001459
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はじめに
腎生検標本でみられる血管は,主に細動脈(輸入/輸出細動脈と細い小葉間動脈)と小動脈(太い小葉間動脈と弓状動脈)である。皮髄境界を走行する弓状動脈から太い小葉間動脈が皮質に向かって枝分かれし,太い小葉間動脈からは細い小葉間動脈,輸入細動脈が枝分かれし,糸球体を経て輸出細動脈となる。細動脈とは中膜平滑筋が1~2層,外径が100μm以下の動脈で,細い小葉間動脈,輸入細動脈と輸出細動脈がある。輸出細動脈は,細い小葉間動脈や輸入細動脈に比べて平滑筋の層が目立たないことで区別される。小動脈は中膜平滑筋が2層以上,8~10層までの動脈で,内膜と中膜の境界に内弾性板がみられる(図1)。これらの血管はさまざまな要因によって複雑に変化するが,本稿では,小動脈の動脈硬化(内膜の線維性肥厚,内弾性板の層状化と中膜平滑筋の萎縮)と細動脈の硝子様変化に関連して,高血圧症・加齢・糖尿病およびカルシニューリン阻害薬(calcineurin inhibitor:CNI)による病変について組織像を交えて提示し,それらの鑑別の手掛かりについて言及する。
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