Japanese
English
症例
感染を契機に透析関連心膜炎を発症し心囊ドレナージを施行した1例
Dialysis related pericarditis triggered by infection
神永 洋彰
1
,
小林 高久
1
,
岡 健太郎
1
,
大原 健
1
,
菱田 英里華
1
,
今井 利美
1
,
吉澤 寛道
1
,
増田 貴博
1
,
齋藤 孝子
1
,
篠原 肇
2
,
井上 真
3
,
秋元 哲
1
,
齋藤 修
1
,
長田 太助
1
KAMINAGA Hiroaki
1
,
KOBAYASHI Takahisa
1
,
OKA Kentaro
1
,
OHARA Ken
1
,
HISHIDA Erika
1
,
IMAI Toshimi
1
,
YOSHIZAWA Hiromichi
1
,
MASUDA Takahiro
1
,
SAITO Takako
1
,
SHINOHARA Hajime
2
,
INOUE Makoto
3
,
AKIMOTO Tetsu
1
,
SAITO Osamu
1
,
NAGATA Daisuke
1
1自治医科大学内科学講座腎臓内科学部門
2自治医科大学内科学講座循環器内科学部門
3医療法人社団医弘会 かわしま内科クリニック
キーワード:
透析関連心膜炎
,
内シャント閉塞
,
異化亢進
,
心タンポナーデ
Keyword:
透析関連心膜炎
,
内シャント閉塞
,
異化亢進
,
心タンポナーデ
pp.117-120
発行日 2024年1月25日
Published Date 2024/1/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000001176
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はじめに
透析患者に合併する急性心膜炎は,透析導入期にみられる尿毒症性心膜炎と透析導入後8週以上が経過してから発症する透析関連心膜炎に大別される1,2)。尿毒症性心膜炎は腎不全に由来する代謝産物の蓄積や体液過剰,電解質や酸塩基平衡の異常に起因すると考えられ,透析療法の強化により多くの症例で改善が得られる。また,透析関連心膜炎は透析療法の安定した維持期に発症するため,バスキュラーアクセスのトラブルや不適切な透析条件の設定による透析効率の低下が原因となることが多い2~4)。心囊液の貯留がみられた場合は十分な透析量を確保しつつ原因の鑑別を行うが,心タンポナーデや循環動態の破綻が危惧される場合は,速やかに外科的心囊ドレナージが選択される3~7)。今回筆者らは,安定した維持透析期に急速な心囊液貯留により透析困難症と内シャント閉塞をきたし,心囊ドレナージ術と経皮的血管形成術を要した症例を経験した。低アルブミン血症や肝疾患を合併していたが発症前まで従来と同じ透析量を維持することができていたことから,新たな要因が心膜炎の発症に関与したと考えられた。維持透析患者に合併する心膜炎を理解するうえで示唆に富む症例であり報告する。
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