Japanese
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特集 病因・病態生理から読み解く腎・泌尿器疾患のすべて
Ⅷ.腎移植関連
6.生活習慣病 ⑤高尿酸血症
Hyperuricemia in kidney transplant patients.
升谷 耕介
1
Masutani Kosuke
1
1福岡大学医学部腎臓・膠原病内科学
キーワード:
高血圧症
,
細小動脈障害
,
痛風関節炎
,
尿酸降下薬
Keyword:
高血圧症
,
細小動脈障害
,
痛風関節炎
,
尿酸降下薬
pp.594-598
発行日 2023年12月15日
Published Date 2023/12/15
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000001100
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1 病因・病態
高尿酸血症は痛風関節炎の基礎病態として古くから知られており,わが国においても食生活の欧米化やアルコール摂取の増加などに伴いその頻度が増加している。さらに近年では,尿酸塩の沈着が関与しない病態においても,高尿酸血症は微小血管障害などを介して慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)の発症や進展に関与している可能性が示され1, 2),無症候性の高尿酸血症に対する注目度が増している。尿酸は主に腎臓から排泄されるため,腎機能が低下した患者は高尿酸血症を伴いやすい。腎移植患者は機能的には1腎であり,CKDステージG3~G4相当の腎機能であることがほとんどであるため,高尿酸血症のハイリスク群である。また,免疫抑制療法としてシクロスポリンあるいはタクロリムスが必須の薬剤として投与されているが,これらは腎輸入細動脈収縮に伴う排泄低下や,尿酸トランスポーターを介した再吸収亢進により尿酸排泄低下型の高尿酸血症に関与する。また,代謝拮抗薬ミゾリビンも詳細な機序は不明ながら高尿酸血症を起こすことが知られているなど,腎移植患者に特有の病態もみられる。
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