Japanese
English
特集 病因・病態生理から読み解く腎・泌尿器疾患のすべて
Ⅴ.AKI
2.腎性AKI
Renal AKI
藤井 健太郎
1
,
竜崎 崇和
1
Fujii Kentaro
1
,
Ryuzaki Munekazu
1
1東京都済生会中央病院腎臓内科
キーワード:
腎性腎不全
,
急性尿細管壊死
,
急性尿細管障害
,
腎代替療法
,
バイオマーカー
Keyword:
腎性腎不全
,
急性尿細管壊死
,
急性尿細管障害
,
腎代替療法
,
バイオマーカー
pp.344-351
発行日 2023年12月15日
Published Date 2023/12/15
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000001054
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1 病因・病態
腎性急性腎障害(acute kidney injury:AKI)とは,腎組織そのものの障害をきたすことにより,急激な腎機能低下を呈するものである。糸球体,血管,尿細管間質などの各部位に応じた原因により発症するが,しばしばこれらの組織構造が複合的に障害され腎機能低下状態となる(表1)。糸球体障害型の腎性AKIとしては,感染後急性糸球体腎炎などの急性腎炎症候群や抗好中球細胞質抗体(antineutrophil cytoplasmic antibody:ANCA)関連血管炎による急速進行性糸球体腎炎症候群,またループス腎炎などの二次性糸球体腎炎などが挙げられる。一部のネフローゼ症候群では大量の尿蛋白による尿細管障障害や血管内脱水により,急激な腎機能低下をきたし得る1)。血栓症や血管炎に伴う腎内血管の閉塞性病態では,腎血流低下に伴う腎性AKIを発症する。また腎静脈血栓症では,腎うっ血により糸球体濾過量の低下・管腔の閉塞により腎機能の低下をきたし,急性心不全に伴う中心静脈圧の上昇や下大静脈閉塞でも同様の病態を呈する。一部の膠原病や薬剤は尿細管間質腎炎により,尿細管間質障害をきたす。細菌による腎盂腎炎や免疫低下状態ではサイトメガロウイルスやBKウイルス感染が直接的に尿細管間質障害をきたす。白血病や悪性リンパ腫は尿細管間質への直接的な腫瘍浸潤が腎機能低下の原因となる他,抗がん薬治療により腫瘍崩壊症候群を呈した場合には尿細管閉塞病態により急激な腎機能低下を呈する。メトトレキサートやアシクロビルなどの薬剤は尿細管管腔内で結晶化し,尿細管管腔閉塞をきたす。
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