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特集 ホメオスタシスと腎臓
各論
低カリウム血症と代謝性アルカローシス:腎近位尿細管のアンモニア代謝亢進
Hypokalemia and metabolic alkalosis:ammonia metabolism at the renal proximal tubule
橋本 弘史
1
,
安西 尚彦
1
HASHIMOTO Hirofumi
1
,
ANZAI Naohiko
1
1千葉大学大学院医学研究院薬理学
キーワード:
緩衝系
,
グルタミン
,
重炭酸イオン
,
トランスポーター
Keyword:
緩衝系
,
グルタミン
,
重炭酸イオン
,
トランスポーター
pp.646-650
発行日 2023年11月25日
Published Date 2023/11/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000000956
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はじめに
代謝性アルカローシスは,重炭酸イオン(HCO3−)負荷または水素イオン(H+)喪失のいずれかで生じ,H+喪失には腎臓からの喪失と腎臓以外(主に消化管)からの2つの機構がある。そして,代謝性アルカローシスが持続するには,この2つの機構のほかに,アルカローシスの維持因子が働く。維持因子には,有効循環血漿量低下,脱水,低カリウム血症,ミネラルコルチコイド過剰,糸球体濾過量(GFR)低下などがある(表)。一方,アルカローシスでは低カリウム血症傾向になるため,代謝性アルカローシスと低カリウム血症は合併することが多い。低カリウム血症では,尿中へのH+分泌が亢進しているが,尿中にH+を分泌させる機構として,アンモニア(NH3)による緩衝系(NH3+H+=NH4+)およびリン酸による緩衝系(H++HPO42−=HPO4−)が重要とされる。尿中への総酸排泄の2/3~3/4はNH4+として行われるため1),腎臓でのNH3産生は生体の酸塩基平衡の維持に必要不可欠である。この際に利用されるNH3は腎組織内で主としてグルタミン(glutamine:Gln)から産生される2)。
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