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特集 新型コロナウイルス感染症の検証―腎疾患診療を中心に
コロナ禍での腎疾患診療
COVID-19が腎移植医療に与えた影響
The impact of COVID-19 on kidney transplantation
植松 光
1
,
小口 英世
1
UEMATSU Hikaru
1
,
OGUCHI Hideyo
1
1東邦大学医学部腎臓学講座
キーワード:
covid-19
,
移植医療
,
免疫抑制薬
,
移植レシピエント
,
kidney transplantation
Keyword:
covid-19
,
移植医療
,
免疫抑制薬
,
移植レシピエント
,
kidney transplantation
pp.457-460
発行日 2023年10月25日
Published Date 2023/10/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000000907
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はじめに
移植レシピエントに発症したCOVID-19は,流行初期から転帰不良な病態として認知されている。腎移植レシピエントは免疫抑制状態にあり,それ自体がCOVID-19の増悪因子である1)。デルタ株を主体とした流行期には9割以上に入院治療が必要で,うち約5割で急性呼吸促迫症候群(acute respiratory distress syndrome:ARDS)を発症し,死亡率は2割程度とも報告されていた2)。しかしながら流行株の変遷とともに,その認識は徐々に変わりつつあり,同様の併存疾患をもつ患者と傾向スコアで調整した研究では,臓器移植の有無で30日および60日の死亡率は変わらないとも報告されている3)。現在のオミクロン株を主体とする環境下では,他臓器移植後も含めた検討ではあるものの,入院率は26%にまで低下し,死亡率も2%と報告されている4)。一方,わが国でCOVID-19罹患者の全数把握が中止になる前(2022年8月31日まで)の臓器移植後の累計感染者数は1,148例(うち腎移植レシピエントの累計感染者数は875例)で,未入力例もあるが死亡例は30例と,海外の報告と比較して死亡率は低い5)。
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