Japanese
English
特集 CKD-MBDの新しい潮流
CKD-MBD管理の課題
ターゲットリン値とCACS
Target levels for serum phosphorus and CACS
猪阪 善隆
1
ISAKA Yoshitaka
1
1大阪大学大学院医学系研究科腎臓内科学
キーワード:
冠動脈石灰化スコア
,
中膜石灰化
,
リン吸着薬
Keyword:
冠動脈石灰化スコア
,
中膜石灰化
,
リン吸着薬
pp.321-324
発行日 2023年9月25日
Published Date 2023/9/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000000875
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はじめに
2021年度末のわが国における透析患者の死因の第1位は心不全で,22.4%を占める。心不全,脳血管障害,心筋梗塞をあわせた「心血管死」の割合は31.5%となる1)。1988年には54.8%であった心血管死の割合は一貫して減少してきている。日本透析医学会の統計調査データを解析した若杉らの報告によると,わが国の年齢調整死亡率は1988年から2013年までの25年間で47.3%低下し,その主な要因は心血管死亡の減少であり,感染症による死亡率は減少していない2)。しかし,心血管合併症が透析患者の予後に影響を与える大きな要因であることに変わりはない。このような心血管死の主な要因として冠動脈石灰化が挙げられる。冠動脈石灰化スコア(coronary artery caldification score:CACS)が高くなると,透析患者の死亡や心血管イベントのリスクが上昇することが報告されており3),CACSは透析患者の生命予後に対するサロゲートマーカーである。本稿では,透析患者のターゲットリン値とCACSについて概説する。
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