Japanese
English
特集 CKD-MBDの新しい潮流
CKD患者の血管石灰化病変の特徴
心臓弁石灰化
Cardiac valvular calcification in chronic dialysis patients
森本 耕吉
1
,
吉田 理
1
,
林 香
2
,
大家 基嗣
1
MORIMOTO Kohkichi
1
,
YOSHIDA Tadashi
1
,
HAYASHI Kaori
2
,
OYA Mototsugu
1
1慶應義塾大学医学部 血液浄化・透析センター
2慶應義塾大学医学部 腎臓内分泌代謝内科
キーワード:
慢性腎臓病(CKD)
,
透析
,
CKDにおける骨・ミネラル代謝異常(CKD-MBD)
,
心臓石灰化(CVC)
Keyword:
慢性腎臓病(CKD)
,
透析
,
CKDにおける骨・ミネラル代謝異常(CKD-MBD)
,
心臓石灰化(CVC)
pp.291-294
発行日 2023年9月25日
Published Date 2023/9/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000000870
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
Ⅰ 慢性透析患者と大動脈弁石灰化・僧帽弁輪石灰化
1.慢性透析患者の病像
諸外国との比較において人口が多く高齢化率が高いわが国では,慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)患者の絶対数が多いことから末期腎不全(end-stage renal disease:ESRD)に至る患者数も多く,人口当たりの腎移植件数が少ないことから,慢性透析患者,特に血液透析(hemodialysis:HD)患者の絶対数が多い1,2)。そして,慢性透析患者は,基礎疾患や腎不全と関連する,あるいは別個の,さまざまな合併症や併存症を抱える,いわゆる多疾病罹患の状態にある症例が多い。わが国の慢性透析患者の年間祖死亡率は9.9%に達し,その主たる死因は心血管死32.0%(内訳として心不全22.4%,脳血管障害5.9%,心筋梗塞3.8%),感染症21.5%,悪性腫瘍9.5%であり2),動脈硬化や血管石灰化が直接的に影響する心血管死の,慢性透析患者における臨床的なインパクトはきわめて大きい。そして,慢性透析患者の心血管死の過半を占める心不全には心臓弁膜症,特に大動脈弁狭窄症(aortic stenosis:AS)の影響が大きいと考えられている。その背景にあるのはCKD患者の心臓弁石灰化(cardiac valve calcification:CVC)である。
© tokyo-igakusha.co.jp. All right reserved.