心筋線維化とFGF23，ビタミンD代謝

Fibroblast growth factor 23 and vitamin D metabolism on the cardiac fibrosis

はじめに

　尿毒症に伴う心筋障害はuremic cardiomyopathyと総称され加齢，糖尿病や高血圧などの古典的なリスク因子に加えて，腎不全特有の因子の関与が指摘されている。腎性貧血，高リン（P）血症，二次性副甲状腺機能亢進症などさまざまな機序が複雑に関与している点，左室拡張能障害，心筋線維化，心筋肥大といった病理的特徴を有する点が非慢性腎臓病（chronic kidney disease：CKD）患者と大きく異なる^1）。わが国の透析患者において心不全は古典的な因子に対して適切に介入されているにもかかわらず死亡原因の第1位を占めていることから，腎不全特有のミネラル代謝異常，特にPと線維芽細胞増殖因子（fibroblast growth factor：FGF）23への介入は喫緊の課題である。