病態別 透析患者・移植後患者の末梢動脈疾患

Lower extremity artery disease in dialysis and post-transplant patients

はじめに

　慢性腎臓病（chronic kidney disease：CKD）患者は健常者に比較し，下肢閉塞性動脈疾患（lower extremity artery disease：LEAD）の合併頻度が高い。糖尿病だけでなく，腎機能低下それ自体がPADのリスクファクターとなっており^1），透析導入時には既に4人に1人がPADを合併していた^2）。LEADは重症化すると，包括的高度慢性下肢虚血（chronic limb-threatening ischemia：CLTI）と呼ばれる，安静下肢疼痛，足潰瘍・壊疽を発症し，最悪の転帰は下肢大切断術（足関節より近位部での切断）となるなど，生活の質（quality of life：QOL）や生命予後に大きく影響する。また，LEADは足局所の問題だけでなく，全身の動脈硬化性疾患の一症状であることが多い。LEADの予防に努め，早期発見をすることこそが最善の治療である。