序文 腎疾患患者の末梢動脈疾患治療の進歩

Recent advance of the treatment of peripheral artery disease in the patient with chronic kidney disease

はじめに

　下肢末梢動脈疾患の概念は，この十数年のなかで大きな変遷を経ている。以前は，動脈硬化による血管狭窄を呈する閉塞性動脈硬化症（arteriosclerosis obliterans：ASO）やBuerger病といった個々の病変で捉えられていたが，その後これらを含む動脈の虚血性病変を広く含んだ用語として，末梢動脈疾患（peripheral arterial disease：PAD）という概念が浸透していった。しかし最近では，頸動脈や腎動脈など冠動脈以外の動脈病変をすべて含むPADから，特に下肢の動脈硬化性疾患を限定する意味で，下肢閉塞性動脈疾患（lower extremity artery disease：LEAD）という概念が提唱され，原点回帰した形となっている。