Japanese
English
特集 Genetics in CKD
疾患編
糖尿病性腎臓病(腎症)
Diabetic kidney disease(diabetic nephropathy)
前田 士郎
1,2
MAEDA Shirou
1,2
1琉球大学大学院医学研究科先進ゲノム検査医学講座
2琉球大学病院検査・輸血部
キーワード:
ゲノムワイド関連解析
,
single nucleotide polymorphism(SNP)
,
polygenic risk score(PRS)
Keyword:
ゲノムワイド関連解析
,
single nucleotide polymorphism(SNP)
,
polygenic risk score(PRS)
pp.411-418
発行日 2023年3月25日
Published Date 2023/3/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000000657
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はじめに
糖尿病性腎臓病(腎症)は透析導入原疾患の第1位であり,年間導入数は頭打ちとなっているものの,いまだ年間15,000人以上の患者が糖尿病性腎臓病(腎症)が原因で透析導入されている。糖尿病性腎臓病(腎症)では,早期腎症(微量アルブミン尿)の患者に対する積極的な集学的治療により正常アルブミン尿への寛解あるいは顕性腎症への進展阻止が可能とされているものの,すべての患者にその治療が必要不可欠か,あるいは有用かは明らかではない。一方,臨床現場において,同じ罹病期間,血糖コントロール状況にあっても糖尿病性腎臓病(腎症)の発症・進展に個人差が認められることは多くの糖尿病診療医が経験している。疫学研究においても糖尿病性腎臓病(腎症)の家族内集積が1型糖尿病,2型糖尿病ともに認められている。さらにAfrican,Mexican,American Indianなどでは糖尿病性腎臓病(腎症)発症頻度が高いなど人種差が認められることから,何らかの遺伝要因が関与するとされている。ゲノムワイド関連解析(genome-wide association study:GWAS)の導入により2型糖尿病をはじめとした,多くの生活習慣病などのcommon disease発症と関連するゲノム領域が同定されている。これらの情報は疾患発症のハイリスク群を抽出することを可能としており,糖尿病性腎臓病(腎症)に関してハイリスク群の抽出が可能となれば,効率のよい介入により糖尿病性腎臓病(腎症)患者の予後の改善に貢献できると考えられる。
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