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はじめに
2014年発行の腎と透析vol. 76増刊号では,前田憲徳先生が「短時間頻回透析」のタイトで記述されているので,小著はその後の進展について記載する形で進めていく1)。2015年にKDOQIガイドラインで,用語の整理がされ,従来透析は週3~4回,頻回透析は週5~7回でとされ,さらに治療時間によって,3時間未満が短時間,3~5時間が標準,5時間以上が長時間と定義された2)。わが国では2013年に「維持透析ガイドライン:血液透析処方」において「頻回透析」とは「週当たり5回以上の血液透析をいう」と定義されており3),2019年日本透析医学会の委員会報告として出された「頻回・長時間透析の現状と展望」においても同様の定義となっている4)。2019年のわが国の透析療法の現況においては,週透析回数記載のある全透析患者300,756人の内,週3回透析289,629人(96.3%),週2回以下7,036人(2.3%),3.5回以上4,091人(1.4%)であった。週透析回数と治療方法詳細で検索してみると,施設透析では週3.5回以上1.2%,週3回96.9%,週3回未満1.9%,在宅透析では週3.5回以上83.1%,週3回13.1%,週3回未満3.7%,腹膜透析併用では週3.5回以上0%,週3回0.3%,週3回未満99.7%で,治療方法により透析回数は著しく異なっている。同様の検索で頻回透析の定義通りの週5回以上の透析を行っているのは346人で,そのうちの施設透析は55人(15.9%),在宅透析は291人(84.1%)であった。定義通りの頻回透析を施設で受けている患者はきわめて少なく,大部分は在宅透析で行われている現状である5)。喜田は「いくつかの制約のため,施設で頻回透析を行うには難しい。施設で行えるのは,一日おきの隔日透析または週4回透析までが現実的である」6)と述べている。本特集の前項(p. 270)で,「在宅血液透析」は論じられているので,小著では施設透析にしぼり,「頻回透析」を従来型の「週3回透析より回数の多い透析処方」に拡大して,隔日,週4回透析についても論じることとする。
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