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特集 病理からせまる腎疾患の病因・病態解明
総論
糸球体病変 メサンギウム細胞増多からの鑑別診断・病理診断
Mesangial hypercellularity
柳内 充
1,2,3
,
小川 弥生
1,3
YANAI Mitsuru
1,2,3
,
OGAWA Yayoi
1,3
1北海道腎病理センター
2湘南鎌倉総合病院腎臓病総合医療センター・病理診断部
3札幌徳洲会病院病理診断科
キーワード:
メサンギウム
,
メサンギウム細胞
,
メサンギウム増殖性腎炎
Keyword:
メサンギウム
,
メサンギウム細胞
,
メサンギウム増殖性腎炎
pp.299-303
発行日 2024年9月25日
Published Date 2024/9/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000001445
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Ⅰ メサンギウムの構造と機能
メサンギウムはメサンギウム細胞とメサンギウム基質より構成され,毛細血管を束ねて保持する重要な役割を果たしている1)。メサンギウム細胞は糸球体全細胞数の30~40%を占めており,PAS(periodic acid Schiff)陽性でピンクに,PAM(periodic acid-methenamine-silver)染色で黒色に染色されるメサンギウム基質に周囲を囲まれている。メサンギウム細胞は,多くのギャップ結合により相互に結合し樹枝状の連続した構築と,束ねる毛細血管にかかる圧負荷に対応するためアクチンフィラメントを有している。メサンギウム細胞は,突起を伸ばして基質を介さず血管内皮に接しており,細胞間のクロストークを行っている。由来は間葉系幹細胞(mesenchymal stem/stromal cells)と考えられている2)。一方で,メサンギウム領域には生理的条件下でも骨髄由来細胞が存在することが知られている3)。メサンギウム細胞には血小板由来成長因子(platelet-derived growth factor:PDGF)やトランスフォーミング成長因子(transforming growth factors:TGF)-βといった成長因子,腫瘍壊死因子α(TNF-α)や各種インターロイキン(IL)の受容体,自然免疫に関与するtoll様受容体(toll-like receptor:TLR),angiotensin Ⅱ受容体など種々の受容体を発現し,多岐にわたる機能に関与している。
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