Japanese
English
特集 予防医学からみた腎疾患診療
【CKDの発症・進展と合併症のリスクとされるエビデンス】
脂質異常症―高LDL-C,高non-HDL-C,低HDL-C,高TG血症と腎障害
Dyslipidemia―the association between dyslipidemia(high LDL-C, non-HDL-C, low HDL-C and high TG)and renal dysfunction
荒川 純子
1
,
池脇 克則
2
ARAKAWA Junko
1
,
IKEWAKI Katsunori
2
1陸上自衛隊 対特殊武器衛生隊
2防衛医科大学校 神経・抗加齢血管内科
キーワード:
dyslipidemia
,
LDL-C
,
non-HDL-C
,
HDL-C
,
triglyceride
,
renal dysfunction
Keyword:
dyslipidemia
,
LDL-C
,
non-HDL-C
,
HDL-C
,
triglyceride
,
renal dysfunction
pp.866-869
発行日 2022年5月25日
Published Date 2022/5/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000000173
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はじめに
脂質異常症は心血管疾患(CVD)の危険因子であり,慢性腎臓病(CKD)患者は脂質異常症を伴うことが多い。CKDの進行に伴い脂質異常症を呈し,例えば,末期腎不全(ESKD)患者は高トリグリセライド(TG)血症,低HDL血症を呈する。これは,腎不全が進行するとリポ蛋白リパーゼ(LPL)や肝性TGリパーゼ(HTGL)活性が低下し,TGに富むTGリッチリポ蛋白〔超低密度リポ蛋白(VLDL),中間密度リポ蛋白(IDL)〕の異化障害とHDLの異化亢進が起こるためである。しかし,上記異化障害によるIDLからLDLへの転換低下とLDLの異化遅延が相殺され,LDLコレステロール(LDL-C)は正常かむしろ低下する。一方,ネフローゼ症候群では,低アルブミン血症を代償するため肝臓でのリポ蛋白合成が亢進することにより,VLDLの分泌増加を介し,LDL-Cが上昇する。このようにCKDにおいて脂質異常症が惹起されるメカニズムや,CKDにおける脂質異常症がCVDの危険因子であることは広く認知されている。
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