特集 2020年代の内科診療―26テーマの近未来予想
内分泌・代謝内科
[その他の代謝疾患]
脂質異常症診療:期待される高LDL-C血症,高TG血症の新薬とパラダイムシフト
岡崎 啓明
1
1東京大学糖尿病・代謝内科
キーワード:
コレステロール
,
トリグリセライド
,
動脈硬化
,
急性膵炎
,
治療薬
Keyword:
コレステロール
,
トリグリセライド
,
動脈硬化
,
急性膵炎
,
治療薬
pp.1191-1196
発行日 2021年12月1日
Published Date 2021/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika128_1191
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Summary
▪脂質異常症のunmet needsとして,重度な高LDL-コレステロール(LDL-C)血症,高トリグリセライド(TG)血症に対する治療薬開発がある.
▪従来の多くのLDL-C降下療法は,最終的にはLDL受容体の発現を増加させることによって効果を発揮するため,LDL受容体が欠損している家族性高コレステロール血症(FH)ホモ接合体には無効なことが多い.
▪高TG血症は,マイルドな場合は主に超低比重リポ蛋白(VLDL)の増加を伴って動脈硬化のリスクとなり,著しい高TG血症(TG>1,000mg/dL)の場合はカイロミクロン(CM)の増加が急性膵炎を惹起する.いずれも有効な治療薬に乏しい.
▪最近の遺伝疫学的研究から動脈硬化惹起性脂質異常症の原因遺伝子が次々と同定され,このような難治性脂質異常症に有効な治療薬が開発されてきている.
© Nankodo Co., Ltd., 2021