Japanese
English
特集 動画で魅せる内視鏡的創閉鎖法のすべて
[クリップを用いた創閉鎖法]
クリップ単独による創閉鎖
Endoscopic wound closure with conventional clips
石井 侃
1
,
早坂 淳之介
1
,
小田切 啓之
1
,
布袋屋 修
1
Tsuyoshi Ishii
1
,
Junnosuke Hayasaka
1
,
Hiroyuki Odagiri
1
,
Shu Hoteya
1
1虎の門病院消化器内科
キーワード:
穿孔
,
予防縫縮
,
内視鏡治療
Keyword:
穿孔
,
予防縫縮
,
内視鏡治療
pp.1008-1013
発行日 2025年8月25日
Published Date 2025/8/25
DOI https://doi.org/10.24479/endo.0000002168
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はじめに
内視鏡治療において創閉鎖を行う状況は大きく二つに分けられる。一つは治療時の筋層損傷に伴う穿孔に対する閉鎖である。内視鏡的切除は消化管腫瘍に対する低侵襲治療としてEMRからESDへと発展を遂げてきたが,普遍的かつ最大の合併症は術中穿孔である。手技的に容易なケースから難易度の高い手技まで,すべての臓器,どんな病変においても術中穿孔は起こりうる合併症であり,術者は術中穿孔を起こさないための手技に注力し,かつ穿孔を起こした際のリカバリーについても十分に習熟することが必須である。術中穿孔への対応が完璧にできない術者は単独で治療に臨む資格はなく,かならずエキスパートの監督下に行うべきである。いざ穿孔時には,慌てず急いで確実に穿孔部をクリップ閉鎖する技術に加え,瞬時の判断力と冷静な精神力が必要であり,この手技は食道,胃,十二指腸,大腸すべてに共通した基本中の基本手技である。もう一つの状況は治療後の遅発性合併症を予防する目的に行う創閉鎖である。近年の高齢化社会に伴い,抗血栓薬服用やmulti-problemを有するなど患者側のリスク因子が増加しており,遅発性合併症を発症した際の重篤化や予後不良となるリスクも高くなっている。したがって近年はリスクマネージメントとして遅発性合併症予防のための創閉鎖が,各臓器の特性や状況に応じて行われており,エビデンスはまだ少ないものの,その有用性が整備されつつある。

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