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特集 消化器内視鏡寸言集2025
Ⅰ.全般[診断]
診断できないならさっさと生検しろ!
If you’ve never seen it, get on with the biopsy!
後藤田 卓志
1
Takuji Gotoda
1
1がん研究会有明病院上部消化管内科
pp.461-461
発行日 2025年4月25日
Published Date 2025/4/25
DOI https://doi.org/10.24479/endo.0000001960
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解説
消化管内視鏡を始めて2年目のある日,今では国立の某がんセンターの偉い先生の言葉が「診断できないならさっさと生検しろ!」であった。上部内視鏡中に見回りにきた先輩に怒鳴られたのである。知識も経験も不足している小生が,目の前の所見(病変かどうかもわからない)をただただ眺めてボーッと見ているだけのなか,時計は時を刻んでいる。当時は鎮静薬使用での内視鏡はまだまだ一般的ではなく意識下での検査で,患者は当然つらい思いをしている。「診断できないならさっさと生検しろ!」をパワハラ感がないように今の時代風に言い換えると,「たまたま経験も知識もない(もしかしたらこの表現も今やNGかもしれない)内視鏡医の検査室にあたった可哀想な患者に罪はない。見たことない病変はただ見ていても診断までたどり着かない。知識もなければ鑑別診断すら浮かばない。可哀想な患者にできることはさっさと生検して検査を終わらせてあげること。検査後に優しい言葉の一つもかけて『〇〇だから組織検査をしました。後日,外来でしっかりと説明しますね』」ではないだろうか。そして,前述の偉い先生からの隠れたメッセージは,「記憶した画像を教科書など画像集から似たものを探す。いくつか鑑別をあげたうえで生検結果とつけあわせる。鑑別診断も含めて画像と病理結果を結びつけて頭のデータベースに格納する。生体であるかぎり,常に一対一とはならないので日頃のアップグレードが必要である」ではなかったかと思っている。今でも実践と検証の反復を続けている。
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