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はじめに
胃内容物の逆流が咽喉頭症状を引き起こす病態を,咽喉頭逆流症(laryngopharyngeal reflux disease:LPRD)という。LPRD症状は,喉のつまり感・嗄声・咽頭痛・咳嗽・咳払い・喉に痰が絡んでいる感じ・後鼻漏・嚥下困難感・呼吸困難感など多彩である。LPRDは胃食道逆流(gastroesophageal reflux:GER),または,咽喉頭逆流(laryngopharyngeal reflux:LPR)によって誘発される。GERは食道粘膜の迷走神経を介し咽喉頭症状を誘発するためreflex theoryと呼ばれる。一方,LPRは咽喉頭粘膜を直接刺激し咽喉頭症状を誘発するためreflux theoryと呼ばれる。喉頭は誤嚥を防止するなど下気道を防御する役割があるため,咽喉頭粘膜には上喉頭神経などの知覚神経が密に分布し過敏な臓器である。したがって,プロトンポンプ阻害薬(proton pump inhibitor:PPI)投与下での弱酸性の逆流であっても,咽喉頭に到達(LPR)すれば,症状が引き起こされてしまう(reflux theory)。つまり,reflux theoryによるLPRDでは保存的治療に抵抗することがあり,PPIにより胸焼けなどのGERD典型症状が改善したとしても,LPRD症状は継続してしまうことがある。また,24時間食道インピーダンスpH検査(MII-pH)や上部消化管内視鏡検査結果などを用いたLyon Consensusの基準からGERDを完全に否定された場合でも,原因を特定できない咽喉頭症状が継続するときはLPRDの可能性が高い1)。このように,LPRDはGERDの一分症と考えられていることが多いが,GERDと異なる特徴は多く(表1)2),LPRDの評価や診断法はGERDとは異なる。本稿では,喉頭内視鏡検査とHMIIを用いたLPRDの客観的評価と診断法について述べる。
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