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通常観察による胃隆起性病変の一般的な鑑別診断1〜3)
図1に胃隆起性病変の鑑別診断アルゴリズムを示す。隆起性病変を認めた場合は,まず表面の性状と立ち上がりの所見によって,上皮性病変あるいは上皮下を主座とする病変(粘膜下腫瘍:submucosal tumor;SMTなど)の鑑別を行う。病変の表面性状が結節状ないし顆粒状であったり,発赤調ないし褪色調など,背景粘膜と表面の形態や色調が異なる場合は上皮性病変と考える。一方,表面が平滑で,背景粘膜と同色調であれば上皮下に主座のある病変の可能性が高い。また,病変の立ち上がりが急峻なものは上皮性,なだらかなものは上皮下に主座のある病変を示唆する。上皮性病変と判断したら形状と色調により,腫瘍性病変と非腫瘍性病変を判別する。上皮性腫瘍性病変と判断したら,大きさや色調によって癌と腺腫の鑑別を行う。大きさが2cm以上でかつ色調が「くすんだ赤色」であれば癌と診断する。大きさが2cm未満でかつ褪色調であれば腺腫の可能性が高い。これに対して,上皮性非腫瘍性病変では発赤が強い場合は腺窩上皮型過形成性ポリープと考え,背景粘膜と同色調であれば胃底腺ポリープと診断する。一方,上皮下を主座とする病変と判断した場合は,病変の大きさ,形状,潰瘍形成の有無によって,良性病変と悪性病変を判別する。大きさが2cm未満で,形状が半球状(整),かつ潰瘍形成を認めない場合は良性病変と判断し,cushion signの有無や病変の部位によって平滑筋腫,脂肪腫,異所性膵などを考える。大きさが3cm以上の大きな病変,形状が不整,潰瘍形成あり,のうち1つ以上を認める場合は悪性病変の可能性を疑う。上皮下に主座のある悪性病変には,平滑筋肉腫,悪性リンパ腫,SMT様の形態を示す胃癌,神経内分泌腫瘍,転移性胃癌などがある。
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