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特集 内視鏡データリファレンスブック2022
【臓器別】
胆道・膵臓
膵管内乳頭粘液性腫瘍
Intraductal papillary mucinous neoplasm
多田 稔
1
,
新行内 綾子
1
,
宮村 達雄
1
,
西村 光司
1
,
阿部 朝美
1
,
伊藤 健治
1
Minoru TADA
1
,
Ayako SHINGYOJI
1
,
Tatsuo MIYAMURA
1
,
Koji NISHIMURA
1
,
Asami ABE
1
,
Kenji ITO
1
1国立病院機構千葉医療センター消化器内科
キーワード:
IPMN由来癌
,
併存膵癌
,
EUS
Keyword:
IPMN由来癌
,
併存膵癌
,
EUS
pp.834-837
発行日 2022年4月25日
Published Date 2022/4/25
DOI https://doi.org/10.24479/endo.0000000182
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Ⅰ 疫 学
膵管内乳頭粘液性腫瘍(intraductal papillary mucinous neoplasm:IPMN)は膵管上皮に発生する囊胞性膵腫瘍である。粘液貯留による膵管拡張が特徴的で,囊胞状の形態を呈する。腫瘍性膵囊胞のなかで最も発生頻度が高い。腫瘍が主膵管に発生して主膵管の拡張が目立つ主膵管型と,膵管二次分枝より末梢で囊胞状の分枝膵管の拡張を伴う分枝型に分類される。多くは分枝型または双方の特徴をもつ混合型で,多数の囊胞が集合した多房性囊胞を呈し,「ブドウの房」にたとえられる。高齢男性,膵頭部発生が多く,複数病変を示すこともしばしば認める。一部の症例は上皮内癌から浸潤癌に進展し,IPMN由来浸潤癌となるのが典型的なIPMN悪性変化であり,大腸ポリープの腺腫から癌への変化に類似している。さらに,膵内のIPMNから離れた部位に通常の膵癌を合併することがあり,これらは併存膵癌と呼ばれ,通常型膵癌の高リスク群である1)。最近,遺伝子解析の結果をふまえてこの併存膵癌にみえる一部の癌はIPMN由来癌であったことが明らかにされ,” branch-off” という新たな発癌進展機構の存在が注目されている2)。
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