特集 ここが知りたい、表在型Barrett食道腺癌
Barrett食道・Barrett食道腺癌の病理判定基準 欧米と本邦ではどのくらい違うのか
相田 順子
1
,
田久保 海誉
,
石渡 俊行
1東京都健康長寿医療センター研究所老年病理学研究チーム
キーワード:
Barrett食道
,
リンパ行性転移
,
食道腫瘍
,
腺癌
,
前癌状態
,
腸上皮化生
,
染色体不安定性
Keyword:
Barrett Esophagus
,
Lymphatic Metastasis
,
Precancerous Conditions
,
Adenocarcinoma
,
Esophageal Neoplasms
,
Chromosomal Instability
pp.1659-1668
発行日 2021年11月25日
Published Date 2021/11/25
DOI https://doi.org/10.24479/J02312.2022047999
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欧米では近年、食道癌では大半が腺癌となっている。Barrett食道はBarrett食道腺癌の発生母地として注目されてきた。本邦においても、逆流性食道炎の増加とともにBarrett食道、Barrett食道腺癌の頻度は徐々に上昇してきた。しかしその発生率は腺癌が食道癌の1割程度にすぎず、両者で大きく異なっている。しかし頻度以外にも、診断学的・治療学的に本邦と欧米とではBarrett食道に対する考え方の異なる点がいくつか存在している。本稿では病理組織診断において認められる本邦と欧米との差について、おもにBarrett食道の定義、病理学的分類の観点から解説する。定義では、欧米において定義に腸上皮化生が必要な理由、今後どうすべきかについて、根拠とともに筆者らの考えを述べる。また病理学的分類では、dysplasiaや癌の発生について本邦と欧米の考え方の違いを説明し、また治療方法の差と病理との関連性についても解説する。
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