特集 酸分泌抑制薬の功罪
症例 PPI長期投与中に認めた出血性ポリープの1例
竹田 努
1
,
浅岡 大介
,
赤澤 陽一
,
松本 紘平
,
上田 久美子
,
上山 浩也
,
松本 健史
,
北條 麻理子
,
八尾 隆史
,
永原 章仁
1順天堂大学医学部附属順天堂医院 消化器内科
キーワード:
Histamine H2 Antagonists
,
胃鏡法
,
胃疾患
,
再発
,
消化管出血
,
食道炎-逆流性
,
生検
,
ポリープ
,
免疫組織化学
,
H(+)-K(+)-Exchanging ATPase
,
Serotonin Uptake Inhibitors
,
内視鏡的止血
,
Lansoprazole
,
Aquaporin 4
,
Mucin-6
,
KCNQ1 Potassium Channel
,
細胞外小胞
,
長期投与
Keyword:
Biopsy
,
Gastrointestinal Hemorrhage
,
Immunohistochemistry
,
Stomach Diseases
,
Extracellular Vesicles
,
Esophagitis, Peptic
,
Gastroscopy
,
Serotonin Uptake Inhibitors
,
Hemostasis, Endoscopic
,
H(+)-K(+)-Exchanging ATPase
,
Polyps
,
Histamine H2 Antagonists
,
Recurrence
,
Lansoprazole
,
Mucin-6
,
Aquaporin 4
,
KCNQ1 Potassium Channel
pp.1212-1219
発行日 2020年8月25日
Published Date 2020/8/25
DOI https://doi.org/10.24479/J02312.2020376644
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プロトンポンプ阻害薬(PPI)の長期内服によって生じたポリープから出血をきたし、内視鏡的切除にて止血しえた稀な1例を経験したため報告する。症例は40歳代の男性で、貧血と黒色便を主訴に受診し、上部消化管内視鏡(EGD)では胃体部~前庭部に出血を伴う白色調で水腫様の多発ポリープを認め、胃底腺ポリープが疑われた。止血を試みるも胃粘膜も脆弱であり出血が助長され再出血を繰り返しためPPI投与を中止し、出血していたポリープ計25ヶ所を切除した。病理組織学的には、胃底腺の増殖・著明な拡張、腺窩上皮過形成、間質の浮腫を認め、免疫組織学的染色では、アクアポリン4、KCNQ1陽性の壁細胞と拡張した粘液腺が基底層から表層まで認められ、PPI長期投与に関連した所見と考えられた。1年後のEGDではポリープは認められなかった。胃底腺ポリープからの出血は稀であるが、PPI長期投与によりこのような出血を引き起こす可能性があり、症例の蓄積によるさらなる検討が必要であると考えられた。
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