特集 こんなにある薬剤性消化管傷害
小腸および大腸 抗菌薬起因性の大腸炎
清水 誠治
1
,
小木曽 聖
,
池田 京平
,
上島 浩一
,
横溝 千尋
,
高島 英隆
,
富岡 秀夫
1JR大阪鉄道病院 消化器内科
キーワード:
Clostridium difficile
,
クロストリジウム感染症
,
Metronidazole
,
Vancomycin
,
大腸内視鏡法
,
抗細菌剤
,
大腸炎
,
ブドウ球菌感染症
,
予後
,
腸炎-偽膜性
,
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌
Keyword:
Anti-Bacterial Agents
,
Vancomycin
,
Metronidazole
,
Clostridioides difficile
,
Prognosis
,
Colitis
,
Clostridium Infections
,
Colonoscopy
,
Enterocolitis, Pseudomembranous
,
Staphylococcal Infections
,
Methicillin-Resistant Staphylococcus aureus
pp.918-923
発行日 2019年6月25日
Published Date 2019/6/25
DOI https://doi.org/10.24479/J02312.2019312035
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抗菌薬起因性大腸炎で重要な抗生物質起因性出血性大腸炎(AAHC)とClostridioides difficile感染症(CDI)の概要を内視鏡診断を中心に述べる。AAHCは合成ペニシリン投与に続発することが多く、急激な腹痛と血性下痢で発症する。菌交代現象としてのKlebsiella oxytocaの増殖が原因と考えられている。内視鏡所見は横行結腸を中心とした粘膜の発赤とびらんである。合成ペニシリンはHelicobacter pylori除菌療法に頻用されており、本症を十分に認識しておく必要がある。CDIの典型的な内視鏡所見は偽膜であるが、偽膜を形成しない症例もみられる。偽膜以外の所見としてアフタ様病変、点状びらんが高頻度にみられる。腸管洗浄液で前処置を行った症例では偽膜が有意に少なく、前処置が所見を修飾している可能性がある。非典型例を誤診しないためには、内視鏡像の多様性を理解したうえで本症を想起することが重要である。MRSA腸炎は過去に多数の報告例がみられるが、最近のシステマティックレビューはその存在自体に疑問を投げかけている。
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