連載
症例をどうみるか 頭蓋底手術を施行した修復性巨細胞肉芽腫の1例
高橋 亮介
1
,
河邊 浩明
,
小出 暢章
,
田崎 彰久
,
大野 十央
,
有泉 陽介
,
朝蔭 孝宏
1東京医科歯科大学 頭頸部外科
キーワード:
MRI
,
側頭骨
,
X線CT
,
中耳炎-滲出性
,
肉芽腫-巨細胞
,
三次元イメージング
,
画像ガイド下生検
Keyword:
Magnetic Resonance Imaging
,
Temporal Bone
,
Granuloma, Giant Cell
,
Otitis Media with Effusion
,
Tomography, X-Ray Computed
,
Imaging, Three-Dimensional
,
Image-Guided Biopsy
pp.780-783
発行日 2020年6月1日
Published Date 2020/6/1
DOI https://doi.org/10.24479/J01814.2020320422
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症例は57歳女性で、右滲出性中耳炎を発症し、約8ヵ月間加療を受けたが改善しなかった。MRIで右側頭部から顎関節に広がる腫瘍性病変を指摘され、USおよびCTガイド下生検にて修復性巨細胞肉芽腫の診断となった。まず掻爬術を行い、術後にデノスマブを投与することを提案され、治療は当科で行うことを希望されて紹介受診となった。手術では、正中を超えるhemi-coronal incisionから右耳前部より頸部へ至るS字状の皮膚切開をおいた。頭部では骨膜上で、頸部では広頸筋直下で皮弁を挙上した。顕微鏡をいれてV2、V3を確認し温存、中硬膜動脈は切断し、その深部の腫瘍を摘出して内頸動脈を同定した。側頭下窩の腫瘍も肉眼的に全摘した。術後1日には一般病棟へ転棟し経口摂取を開始、創部の経過は問題なく術後10日に退院とした。術後3ヵ月のCTでは遺残させた腫瘍の増大は認めなかった。術後治療としてデノスマブの投与を提案したが希望はなく、現在外来にて厳重に経過をみている。
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