連載
症例をどうみるか 側頭骨内髄膜瘤の1症例
菊地 さおり
1
,
関根 康寛
,
吉田 沙絵子
,
飯野 ゆき子
1東京北医療センター 耳鼻咽喉科
キーワード:
ドレナージ
,
開頭術
,
抗感染剤
,
内固定法
,
骨プレート
,
MRI
,
髄膜瘤
,
側頭骨
,
X線CT
,
頭蓋骨骨折
,
膿瘍
,
ブドウ球菌感染症
,
免疫組織化学
,
術後感染症
,
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌
,
乳様突起開放術
,
頭蓋形成術
Keyword:
Bone Plates
,
Craniotomy
,
Anti-Infective Agents
,
Drainage
,
Immunohistochemistry
,
Magnetic Resonance Imaging
,
Temporal Bone
,
Meningocele
,
Fracture Fixation, Internal
,
Abscess
,
Mastoidectomy
,
Tomography, X-Ray Computed
,
Skull Fractures
,
Staphylococcal Infections
,
Methicillin-Resistant Staphylococcus aureus
pp.399-403
発行日 2020年3月1日
Published Date 2020/3/1
DOI https://doi.org/10.24479/J01814.2020226406
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症例は45歳女性で、左耳漏を主訴とした。幼少期に左側側頭骨骨折、21年前に左外耳道真珠腫の手術歴があり、CT、MRIでは中頭蓋窩の天蓋に2ヶ所の骨欠損と欠損部から上鼓室まで連続する軟部組織陰影を認め、髄膜脳瘤の診断で経過観察していたが、1年後に糖反応陽性の左耳漏を認めた。髄膜脳瘤からの髄液漏出と考えて脳外科と共同し、経乳突法と中頭蓋窩法の併用により髄膜瘤の摘出と髄液漏出部位の閉鎖を行ったところ、髄膜瘤の病理組織所見は髄膜細胞であった。術後創部に感染を生じるも適切な治療にて回復し、術後2年6ヵ月のMRIでは髄膜瘤の再発は認めず、中耳内の含気も良好であった。本症例は過去の側頭骨骨折が原因で外耳道真珠腫を形成し、かつ頭蓋骨欠損が生じたと考えられ、CT等で天蓋欠損を伴った中耳病変を認めた場合には、髄膜脳瘤の可能性も念頭に置いて精査を進めるべきであると考えられた。
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