連載
症例をどうみるか 陽子線治療後に生じた後天性後鼻孔閉鎖症の1例
波多野 孝
1
,
荒井 康裕
,
福井 健太
,
折舘 伸彦
1横浜市立大学 医学部耳鼻咽喉科・頭頸部外科
キーワード:
口蓋腫瘍
,
MRI
,
内視鏡法
,
粘表皮癌
,
鼻中隔
,
放射線障害
,
後鼻孔閉鎖症
,
硬口蓋
,
陽子線治療
,
頭部CT
,
粘膜弁
Keyword:
Magnetic Resonance Imaging
,
Nasal Septum
,
Radiation Injuries
,
Choanal Atresia
,
Carcinoma, Mucoepidermoid
,
Palate, Hard
,
Palatal Neoplasms
,
Endoscopy
,
Proton Therapy
pp.1495-1499
発行日 2021年11月1日
Published Date 2021/11/1
DOI https://doi.org/10.24479/J01814.2022063076
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23歳男性。鼻閉を主訴とした。4年前に前医で硬口蓋粘表皮癌に対し陽子線治療を受け、治療後からの鼻閉を主訴に当科受診となった。鼻腔ファイバースコピーで鼻腔内に高度の癒着を認め、CTで右後鼻孔の閉鎖を認めた。陽子線治療後に生じた後天性後鼻孔閉鎖症と診断し、翌年に原疾患の再発のないことを確認して、内視鏡下鼻内法により閉鎖部位の開大手術を施行した。手術は患側鼻中隔粘膜の後方で切開剥離を行い、後方の閉鎖壁粘膜まで一塊に剥離挙上し、粘膜弁として温存し、後鼻孔閉鎖部を解除した。続いて、鋤骨後方をドリルで後鼻孔を大きく削開拡大した。反対側鼻中隔粘膜をflapとして、患側骨露出部を被覆し、閉鎖部の剥離挙上した粘膜弁で後上方の骨露出部を被覆することで後鼻孔の再狭窄予防を行った。術後経過は良好で、術後1年9ヵ月の現在まで後鼻孔の再狭窄はなく、鼻閉症状を認めていない。
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