第29回 腎と妊娠研究会
母体の腎臓からの視点 妊娠高血圧関連腎症における臨床病理学的所見と腎予後の検討
北島 信治
1
,
岩田 恭宜
,
和田 隆志
1金沢大学 大学院腎臓内科学
キーワード:
子かん前症
,
糸球体硬化症-巣状分節性
,
糸球体腎炎-IgA
,
生検
,
妊娠期
Keyword:
Biopsy
,
Pregnancy Trimesters
,
Pre-Eclampsia
,
Glomerulonephritis, IGA
,
Glomerulosclerosis, Focal Segmental
pp.810-813
発行日 2019年11月25日
Published Date 2019/11/25
DOI https://doi.org/10.24479/J00714.2020055296
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
当院と関連施設で腎生検により妊娠高血圧関連腎症と診断した47例のうち、妊娠20週以降に蛋白尿が出現した28例を妊娠高血圧腎症(PE)群、妊娠20週未満または妊娠前に蛋白尿が出現した19例を加重型妊娠高血圧腎症(SPE)群とし、患者背景、臨床所見、腎組織所見、腎予後などについて検討した。患者背景、臨床所見を群間比較すると、PE群はSPE群よりも「血圧」「推算GFR」が有意に高く、「年齢」「尿蛋白」「血清蛋白」「血清Cr」に有意差は認めなかった。PE群の腎組織所見は巣状分節性糸球体硬化症が18例、内皮細胞障害10例であり、腎予後は28例中27例で妊娠の終了により蛋白尿が寛解していた。SPE群の腎組織所見はIgA腎症10例、糖尿病性腎症2例、ループス腎炎+糸球体微小変化2例、膜性腎症1例、膜性増殖性腎炎1例、アルポート症候群1例、ANCA関連腎炎1例と多彩であった。腎予後は、長期経過を観察しえた15例中10例は妊娠前後で腎機能に変化なく、3例は腎機能の低下を認めたものの自然経過での低下であり、妊娠による影響は少ないと考えられた。
Copyright© 2019 tokyo-igakusha.co.jp. All rights reserved.