症例
妊娠初期に発症したネフローゼ症候群に対して腎生検を施行し、加重型妊娠高血圧腎症と診断した一例
市原 詩恵
1
,
家田 研人
,
宮口 祐樹
,
菅 憲広
1名古屋市立西部医療センター 腎臓・透析内科
キーワード:
ネフローゼ症候群
,
Nifedipine
,
電子顕微鏡検査法
,
子かん前症
,
生検
,
胎児死亡
,
妊娠前期
,
母性年齢35歳以上
Keyword:
Biopsy
,
Microscopy, Electron
,
Pregnancy Trimester, First
,
Pre-Eclampsia
,
Fetal Death
,
Nifedipine
,
Nephrotic Syndrome
pp.931-934
発行日 2021年5月25日
Published Date 2021/5/25
DOI https://doi.org/10.24479/J00714.2021256330
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
症例は40歳の初産婦で、妊娠15週0日から血圧が180/100mmHgを超えることがあり、下腿浮腫が顕著となり、他院でメチルドパの内服を開始された。15週3日に尿蛋白と低アルブミン血症を認められ、当科に紹介入院となった。ネフローゼ症候群(NS)と診断し、ニフェジピン40mg/日の内服で降圧を強化した。妊娠17週4日に腎生検を行い、光学顕微鏡のPAS染色では内皮細胞の腫大が目立ち、管内増殖所見と内皮下腔の拡大、フィブリン様物質の析出した所見がみられた。上皮細胞の変性も存在し、PAM染色で基底膜の二重化を認めた。免疫蛍光抗体法ではIgG(-)、IgA(±)、IgM(2+)、C1q(2+)、C3(-)、C4(3+)、Fib(-)、κ(+)、λ(+)であった。電子顕微鏡ではメサンギウム間入と内皮下の高電子密度沈着物を認めた。これらの所見から、加重型妊娠高血圧腎症によるNSと診断した。降圧療法を継続したが、妊娠21週4日に子宮内胎児死亡が確認された。胎児娩出後に高血圧・尿蛋白とも自然軽快した。
Copyright© 2021 tokyo-igakusha.co.jp. All rights reserved.