症例
ECMOを導入し救命した小児鋳型気管支炎の1治験 重症小児例の呼吸・循環管理に関する1考察
川口 拓哉
1
,
大林 樹真
,
長江 秀樹
,
勝田 友博
,
藤川 あつ子
,
小野 裕國
,
新明 卓夫
,
古田 繁行
,
北川 博昭
1聖マリアンナ医科大学 外科学講座小児外科学分野
キーワード:
気管支炎
,
気道閉塞
,
胸部X線診断
,
塞栓症
,
ECMO
,
胸部CT
Keyword:
Bronchitis
,
Extracorporeal Membrane Oxygenation
,
Embolism
,
Radiography, Thoracic
,
Airway Obstruction
pp.939-945
発行日 2019年9月25日
Published Date 2019/9/25
DOI https://doi.org/10.24479/J00645.2019396278
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症例は1歳9ヵ月女児で、軽度の咳嗽が3日間持続したのち、38℃の発熱と激しい咳嗽に喘鳴が加わり近医を受診した。翌朝さらに呼吸症状が悪化したため最寄りの夜間急患診療所を受診したところ、緊張性気胸の診断で当院小児外科に転送された。X線単純写真では、両側気胸に加え進行する縦隔気腫および気腹も出現したため、両側胸腔、縦隔および腹腔にドレーンを挿入・留置し脱気を図った。この時点で気管挿管下での呼吸管理は限界と判断し、体外式膜型人工肺(ECMO)の導入を決定した。ECMO開始直後に気管支鏡検査を施行し、鋳型気管支炎-I型と診断した。ECMOを稼働させたのちは、患児の呼吸・循環動態は良好に維持されたがX線写真上で無気肺の再発が確認されたため、さらに頻回に気管支鏡下粘液栓除去に努めた。その結果、徐々に換気効率は向上し、自己肺による人工換気に移行しつつECMOは稼働後6日で終了しえた。
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