特集 高齢者の非腫瘍性血液疾患
1.高齢者の鉄欠乏性貧血
小船雅義
1
,
井山諭
2
Masayoshi Kobune
1
,
Satoshi Iyama
2
1札幌医科大学 血液内科学 准教授
2札幌医科大学 血液内科学 助教
pp.19-25
発行日 2018年12月30日
Published Date 2018/12/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201901019
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最近,治療に難渋する貧血性疾患が急速に増えてきている。国民健康・栄養調査報告を見ると,健常人対象の健康調査にもかかわらず,ヘモグロビン(Hb)値が女性で12 g/dL未満,男性で13 g/dL未満の貧血患者が認められる。特に,30~49歳の女性では,約20%が貧血を呈し,この大部分が小球性貧血であり鉄欠乏性貧血が主な原因である。50~60歳代で貧血の頻度は,女性で10%程度まで低下するが,70歳以上では20~30%に再上昇する。高齢者の貧血では鉄欠乏があっても小球性を呈するとは限らず,背景にある様々な基礎疾患が影響しているものと推定される。