特集 慢性リンパ性白血病(CLL)と類縁疾患
5.慢性リンパ性白血病(CLL)の予後因子:FISH法,遺伝子変異,病理学的観点から
菊地智樹
1
,
中村直哉
2
Tomoki Kikuchi
1
,
Naoya Nakamura
2
1東海大学医学部 基盤診療学系 病理診断学 講師
2東海大学医学部 基盤診療学系 病理診断学 教授
pp.187-194
発行日 2018年1月30日
Published Date 2018/1/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201802187
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慢性リンパ性白血病は,一般に予後良好な低悪性度B細胞腫瘍と考えられている。ただし一部の症例は進行性で,治療抵抗性に至る予後不良群も存在し,その多様性が注目されている。以前より,Rai,Binetなどの臨床病期分類や,FISHなどで検出する17p欠失,11q欠失などの染色体異常が予後因子として報告され,臨床現場でも応用されているが,近年,次世代シークエンス技術の発達により,NOTCH1,SF3B1をはじめとする様々な新規遺伝子異常が同定され,予後にも関係することが報告された。本稿では,それら予後因子となる染色体異常や遺伝子異常に加えて,病理学的観点からも概説したい。