Topics「身近な話題・世界の話題」(161)
細胞競合とがん
谷口喜一郎
1
,
井垣達吏
2
Kiichiro Taniguchi
1
,
Tatsushi Igaki
2
1京都大学大学院 生命科学研究科 特定助教
2京都大学大学院 生命科学研究科 教授
pp.1702-1706
発行日 2017年11月30日
Published Date 2017/11/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201712064
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細胞同士が互いの優劣を認識し,状態の劣る細胞が優れた細胞によって置き換えられるという,興味深い細胞間コミュニケーションが存在する。「細胞競合」と呼ばれるこの現象は,組織恒常性維持システムのひとつとして注目されている。近年,細胞競合ががんの発生・進展に深く関わる可能性が示されてきた。細胞競合は生物個体にとって敵か味方か? ショウジョウバエを用いた遺伝学的研究により,がんに対する細胞競合の二面性が明らかになりつつある。