特集 HLA半合致移植の現状
3.HLA半合致移植後の再発(LOH:loss of heterozygosityなど)
加藤元博
1
Motohiro Kato
1
1国立成育医療研究センター 小児がんセンター 移植・細胞治療科 医長
pp.1695-1700
発行日 2017年11月30日
Published Date 2017/11/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201712057
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半合致ドナーからの移植は,不一致のHLAを標的とした重篤な移植片対宿主病(GVHD)のリスクと引き換えに強力な移植片対白血病(GVL)効果を期待して難治性の白血病に行われている。半合致移植後の再発白血病にみられるゲノム異常の解析から,HLAの位置する6番染色体短腕領域のヘテロ接合性の消失が高頻度で生じていることが確認された。不一致のHLAを失ったクローンがGVLの選択圧を回避することで再発に至ったと推測される。腫瘍細胞の免疫回避の巧妙さを示すこの現象を通じて,移植免疫の理解が深まることが期待される。