特集 免疫チェックポイントとがん免疫治療
3.PD-L1発現の制御機構とその臨床バイオマーカーとしての役割
片岡圭亮
1
Keisuke Kataoka
1
1国立がん研究センター研究所 分子腫瘍学分野 分野長
pp.1527-1532
発行日 2017年10月30日
Published Date 2017/10/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201711039
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近年,免疫チェックポイント阻害剤が様々な悪性腫瘍に対して有効であることが示されて,がん免疫療法が脚光を浴びている。しかし,未だにがん細胞の免疫回避において主要な役割を果たすPD-L1の発現制御の分子機構の理解は不十分であり,特にその遺伝学的メカニズムについては不明な点が多かった。最近,筆者らはPD-L1の3'-UTR異常が様々な悪性腫瘍に存在し,免疫回避を誘導することを明らかにした。本稿では,PD-L1 3'-UTR異常を中心として,悪性腫瘍におけるPD-L1高発現をもたらすメカニズムについて概説し,それらのバイオマーカーとしての意義についても最新の知見を述べる。