特集 免疫チェックポイントとがん免疫治療
序 ~PD-1阻害がん免疫治療の現状と今後の展望~
波多江龍亮
1
,
茶本健司
2
Ryusuke Hatae
1
,
Kenji Chamoto
2
1京都大学大学院医学研究科 免疫ゲノム医学
2京都大学大学院医学研究科 免疫ゲノム医学 講師
pp.1505-1510
発行日 2017年10月30日
Published Date 2017/10/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201711017
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
世界に先駆けて2014年に本邦で製造販売が承認されたProgrammed cell death-1(PD-1)抗体ニボルマブをはじめとする免疫チェックポイント阻害剤の登場で,がん免疫療法は飛躍的に発展した。本邦でも既に悪性黒色腫と非小細胞肺がん,腎細胞がん,ホジキンリンパ腫,頭頸部がん,胃がんに対し保険適用が認められており,がんに対する治療戦略が大きく変わった。しかし,高い奏効率を示すがん腫でも不応答性の患者が存在し,バイオマーカーや有効な併用療法の確立が望まれる。この課題を克服するためには,免疫チェックポイント阻害剤になぜ抗腫瘍効果があるのかという根本的な作用機序を解明しなければならない。本稿では,PD-1を標的とした免疫チェックポイント阻害療法の現状と今後の展望について概論する。