特集 巨核球造血と血小板産生の新知見
3.巨核球造血の転写制御機構
平野育生
1
,
清水律子
2
Ikuo Hirano
1
,
Ritsuko Shimizu
2
1東北大学大学院医学系研究科 分子血液学分野 助教
2東北大学大学院医学系研究科 分子血液学分野 教授
pp.821-826
発行日 2017年5月30日
Published Date 2017/5/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201706047
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血小板は,核を持たない小細胞片にもかかわらず,血管壁の損傷により速やかに活性化され,粘着凝集し,止血機構に重要な働きを持つ。血小板を産生する巨核球は造血幹細胞から発生してくるが,多倍体化という特異なメカニズムにより成熟する。成熟した巨核球は胞体突起を形成し,細胞質が分離膜により分断され血小板として放出される。この巨核球分化・成熟・血小板放出の過程は,TPOなどのサイトカインシグナルにより促進し,RUNX1やGATA1,FOG1,NF-E2などの転写因子が協調的に働くことで制御されている。