形態学的検査と技術 血液と病理
わだい
骨髄巨核球のはなし
若林 芳久
1
1順天堂大内科
pp.507
発行日 1986年4月15日
Published Date 1986/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543203684
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骨髄中にその存在が形態学的に認められる巨核球系細胞としては,巨核芽球,前巨核球,巨核球の三つの分化段階の細胞が知られている.巨核球系細胞の他の血液細胞に見られない特徴として,巨核芽球は核の分裂を伴わない染色体の分裂(endomitosis)を呈することである.細胞の染色体が4,8,16,32などの倍数性(ploidy)を示すことからnuclear numberのNをとって4N,8N,16N,32Nと呼ばれる.
このようにendomitosisを起こしつつ成熟する.そして前巨核球にまで成熟すると,その大部分は32Nの細胞となる,このような特殊な成熟様式を示す巨核球も当然,その産生は骨髄の多能性造血幹細胞に由来するが,巨核球系前駆細胞として同定可能なものは巨核球コロニー形成細胞(megakaryocyte colony-forming units:Meg-CFU)と呼ばれる2Nの染色体を有する細胞である.Meg-CFUに巨核球コロニー刺激因子(Meg-CSF)が作用すると,巨核球系細胞への分化が起きる.
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