特集 巨核球造血と血小板産生の新知見
1.書き換えられた巨核球系譜 ~幹細胞レベルにおける巨核球分化制御~
錦井秀和
1
Hidekazu Nishikii
1
1筑波大学医学医療系 血液内科 国際テニュアトラック助教
pp.803-810
発行日 2017年5月30日
Published Date 2017/5/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201706029
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正常造血における巨核球分化は,造血幹細胞がリンパ球系,骨髄球系,赤血球系への分化能力を順番に失っていき,結果的に成熟巨核球へと分化運命が決定づけられるという順序だった分化モデルが広く受け入れられてきた。しかし,その一方で巨核球と造血幹細胞は様々な分子を共有していることが知られており,最近では造血幹細胞/前駆細胞の一部に巨核球系に偏った分化能力,分子プロファイルを有する細胞の存在が明らかとなった。この結果は幹細胞,もしくはその近傍で既に巨核球分化制御が行われていることを示唆しており,従来想定されていた巨核球分化モデルの改変が議論され始めている。