カラーグラフ
骨髄巨核球の種々相
寺田 秀夫
1
1昭和大学臨床病理学
pp.466-467
発行日 1965年6月15日
Published Date 1965/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542915762
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血小板は骨髄巨核球の細胞質から生成される。巨核球の幼若型は巨核芽球で,稍成熟して前巨核球の段階になると,細胞質内に多数のアヅール顆粒が生じ,成熟型の巨核球になると,この顆粒が小集団を形成し,これを含む細胞質が細胞周辺部から,突起状に突出し,やがて分離放出されて血小板となる。したがって正常な巨核球は,その周囲に自己の産生した多数の血小板を有している。骨髄血中の巨核球の数は約0.1%であり,その大きさは骨髄細胞中最大で時に40μ〜60μにも達し,弱拡大で他の細胞と良く識別され,ペルオキシダーゼ反応は陰性である。出血性素因を主徴とする患者には,まず血小板を算定し,これが減少を認めたら,その出血は血小板減少に主として由来するものと考え,次に骨髄における巨核球の数や形態を観察する必要がある。骨髄障害(白血病,再生不良性貧血,本態性血小板減少性紫斑病)による場合は,巨核球は減少ないし欠如し,免疫機序や脾機能昂進による場合は,末梢血中の血小板数が減少するにかかわらず,骨髄中の巨核球数は正常ないし増加し,また幼若型のみが認められる場合もある。
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