特集 わが国の血液事業 ~現状と将来展望~
4.輸血感染症対策
松林圭二
1
Keiji Matsubayashi
1
1日本赤十字社血液事業本部 中央血液研究所 感染症解析部長
pp.679-689
発行日 2017年4月30日
Published Date 2017/4/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201705043
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日本赤十字社が血液事業を開始した当時から現在に至るまで,輸血用血液の安全対策として最も重点的に対策を講じてきたのが輸血感染症対策である。検査技術の向上はもとより,献血時の問診強化や初流血除去,保存前白血球除去の導入や遡及調査の実施によって,輸血用血液の安全性は格段に高まった。ウインドウ・ピリオド中の血液による感染は依然として起きているが,2015年に特定できた輸血感染事例はわずか6件である。しかしながら,新興・再興感染症の流行が世界各地で起きており,予断を許さない状況は今後も続くと予想される。